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第1回
かがり火キャンプ
in手賀沼 前編

座談会メンバー

  • 堀口 正裕さん
    堀口 正裕さん
    TURNSプロデューサー

    全国各⾃治体の移住施策に関わり、地域に関する国の委員やアドバイザーも務める。2012年6⽉「TURNS」を企画、創刊。

  • 油原 祐貴さん
    油原 祐貴さん
    合同会社EDGE HAUS 代表

    多様な未来を次世代にバトンをつなぐことを人生の目標としている。地域のつながりを活かしながら、顔の見えるローカル社会を目指す。

  • 鈴木 亮平さん
    鈴木 亮平さん
    都市計画・まちづくりのコンサルタント

    都市計画・まちづくりのコンサルタントとして、社会の縮小を前提とした豊かなまちづくりを目指して、全国各地でプロジェクトを展開中。

  • 萩野 正和さん
    萩野 正和さん
    株式会社connel 代表取締役

    柏市や松戸市、東京都町田市、新潟県新潟市等、まちづくりや地域づくりに関わるプロジェクトの企画から実践・運営までを取り組む。

  • 杉野 耕資さん
    杉野 耕資さん
    果樹農家/柏市果樹組合員

    柏市柳戸在住、すぎの梨園の3代目。柏市果樹組合員、千葉県内の果樹連なし研究部部長。自ら梨の試食販売会を行う。

  • 江口 さやかさん
    江口 さやかさん
    柏市在住果樹農家

    株式会社エグチライスファーム代表取締役、千葉県農業士。農家の長男と結婚し、出産・育児を経て就農。2017年に家業を法人化。

柏を愛し、柏の明日と向き合いながら、日々活動をつづけているプレイヤーが、柏の各地にいます。「今あるこの場所の価値を、どうやって次の世代につなげていこうか」。そんな思いを抱くプレイヤーたちが、週末の夕暮れどきに「篝火(かがりび)キャンプ」に集まりました。 “ここからつなぐ明日の柏”について、互いの垣根を越えて語り合います。

この日集まったのは、手賀沼エリアで活動している5人のプレイヤー。社会起業家の油原祐貴さん。都市計画・まちづくりのコンサルタントの鈴木亮平さん。まちづくりに関わるプロジェクトの企画から運営までを担う荻野正和さん。さらに、すぎの梨園の3代目杉野耕資さん。果樹農家の江口さやかさんも参加。雑誌「TURNS」の編集長で、総務省地域創造アドバイザーの堀口正裕さんがナビゲーターとなり、それぞれの取り組みと手賀沼の魅力について語り尽くします。

いま、手賀沼がおもしろい!
手賀沼で活躍している人たちとは?

堀口:最初に、みなさんの現在の活動をお聞きしたいと思います。では、油原祐貴さんから。

油原:私はいま民間で「奥手賀ツーリズム」という事業をやっています。奥手賀エリアを盛り上げるため、手賀沼周辺の自然環境を楽しめる企画を運営していて、手賀沼フィッシングセンターにあるキャンプ場と地産地消のレストラン「numa café(ヌマカフェ)」の二つを拠点として、農業体験やSUP・カヤックなどができる体験プログラムを子どもたちに提供しています。

堀口:もともとご出身は?

油原:茨城県です。柏に移住してまたUターンで戻ってきました。いまは牛久沼に住んでいて、手賀沼に通っています。沼to沼です(笑)。

堀口:(笑)。手賀沼ではいろいろなアクティビティができるんですね。

油原:できるようになった、というのが正しいのかもしれません。もともとひっそりとあったというか。私が柏に関わり始めたのは、柏駅前の商店街の活性化からでした。その後、手賀沼エリアを盛り上げようというお話があって手をあげたんです。私が農業の収穫体験を始めていた頃で、商店街は結構元気な人が多くて魅力だったのですが、手賀沼にも元気な農家さんが多いと知って、こういう人たちがいるならいろいろできるんじゃないかなと思って通うようになったんです。

堀口:それまでは地元の生産者たちとのつながりはなかったんですか?

油原:もともと手賀沼のあたりは旧沼南町でしたし、あまり知らなかったんです。よくよく調べて関わっていくと、柏から10〜15分の場所に、魅力的な生産者さんがいたり、豊かな環境があるということを、後になってから知りました。

堀口:ありがとうございます。では鈴木亮平さん、お願いします。

鈴木:私は都市計画という分野のコンサルタントとして会社を経営しています。平成28年から手賀沼エリアを盛り上げていくために、柏市主導のプロジェクトが始まりました。もともと私は柏市で、公園や都市計画の仕事をやっていて、手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会が立ち上がったときに声をかけていただいたんです。協議会には5社(※)入っていて、4社は地元の農家さんや道の駅しょうなん、油原さんのEDGE HAUSという会社なので、どちらかというと僕は客観的な立場で、調整役のような形です。チャレンジしたい地元の農家さんや事業者さんはたくさんいるので、みなさんがどうしたら次のステップが踏めるのか、そのチャレンジをどうやったら地域に活かせるのか。いろいろな人の話を聞きながら、つながりをつくって、企画を進めています。

堀口:仕事で関わってみて、手賀沼はいかがですか?

鈴木:僕の目線でなく、地域の人が何をやりたいのか、どういうところを魅力に思っているのか、そういう話を聞きながら考えるんですけど、手賀沼エリアにはチャレンジしたい方がたくさんいるという印象です。農家さんもいま世代が変わる時で、若い方が自分たちの農業スタイルや新しいチャレンジについて考えています。手賀沼に関わって7、8年になりますが、いまはどんどん変わろうとしている、すごくおもしろいタイミングなんじゃないかなって思っています。

堀口:生産者の方も大分変わってきているんでしょうか。杉野耕資さんにお話を伺います。

杉野:僕はずっと手賀沼エリアで生まれ育ちました。大学卒業後に1年間海外で農業実習をして、帰国してから就農しました。梨をはじめ、栗や桃、キウイ、ひまわり油と、いろいろつくっていますが、基本的には梨の専業農家で、就農して15年になります。

堀口:何代目ですか?

杉野:3代目です。祖父が始めてちょうど50年くらい。つづけられたのは、周りが大都市で直売をやれる環境があったこと、近くにお客様がたくさんいらっしゃったから。お客様には、やっぱり自分の梨を食べてもらいたいですし、いろいろな梨の品種を楽しんでいただきたい。スーパーでは、幸水、豊水、新高が多いと思いますが、すぎの梨園は25品種ほどつくっています。

堀口:鈴木さんから世代交代のタイミングというお話ありましたが、「農家のこせがれネットワーク」じゃないですけど、横のつながりも増えてきていますか?
杉野 梨農家同士、米農家同士ならつながりはあります。僕の場合は、若手生産者が千葉県の試験場に一堂に集まって、勉強したり実習したりする千葉県なし研究部という団体で代表を務めているので、横のつながりはありますね。

堀口:生産者である江口さやかさん、お願いします。

江口:私は11年前に、農家の長男に嫁いでこの地域に住み始めました。いまは家族経営で農業をやっています。もともとは、となりの我孫子市に住んでいて、会社員でした。

堀口:手賀沼エリアの農業にはどんな醍醐味がありますか?

江口:杉野さんもおっしゃいましたが、お客様が近くに住んでいることが、この地域で農業をやる一番の魅力ですね。農地自体は全国的に見るととても規模が小さくて、なかなかやりづらい面はありますけども、作った農産物を届けて、その反応を近くで感じられるのは、この地域の農業の醍醐味かなと思います。

堀口:なるほど、いまはどういったものを作られているんですか?

江口:米も果樹も、いろいろ欲張っています(笑)

堀口:手賀沼周辺でいろいろな品目を作るのは、歴史的な背景もあるんですよね?

油原:そうですね。以前、柏には行商という文化があって、戦後食糧がない時代に地域の農家さんたちが農作物を入れたカゴを背負って、電車で東京に運んでいたんです。当時、作るのは男性で、行商で売るのは女性が多かったので、いまでも、地域の女性の商魂とコミュニケーション能力、企画力はすごく高いなって感じます。東京の方もあれこれ欲しい品物はありますから、たくさんのニーズに応えるため、少量多品種で作るようになったのだと思います。自分で作ってなくても、移動の電車の中で交換することもあったそうですよ。

杉野:近所のおばあちゃんも大きなカゴを背負って行商してました。30〜40年前くらいかな。いまも形を変えて、農産物を車の後ろに乗せて東京へ持って行く人もいますが、直売所ができてからは売り場があるので行商に行く必要はなくなりました。

油原:でも、その畑は残っているから、少量多品種が伝統的に残っているんですね。

堀口:その背景はおもしろいですね。ありがとうございます。では萩野正和さん、お願いします。

萩野:僕も2016年に会社を立ち上げてまちづくりのコンサルタントをやっています。みなさんは手賀沼の東側でご活躍されていますが、僕はどちらかというと西側、北柏というエリアで活動しています。地元の町会の方々と、公園や水辺の緑地を管理している柏市みどりの基金の方たちと一緒に、手賀沼や公園、緑地を含めて、地域の“暮らしの質を高める”活動のお手伝いをしています。

堀口:いつから手賀沼に関わっているんですか?

萩野:2018年から、まちづくりのコンサルティング、コーディネートという立場で関わっています。

堀口:関わるようになってから、まちが変わった手応えはありますか?

萩野:北柏でも手賀沼は近いという認識はありましたが、沼辺で何かをやるよりもどちらかというと陸側の活動が中心だったんです。活動するうちに手賀沼の魅力にも気づいて、みなさん“貴重な自然が身近にある”と意識するようになりました。地元の方々も、沼の方にだんだん近づいて(笑)活動をしている状況ですね。

知れば知るほどヌマべにハマる!
それぞれの目線で語る手賀沼の魅力

堀口:改めてみなさんから手賀沼の魅力を聞いてみたいと思います。ガイドブックの「TEGA LOVE」にも紹介されていましたが、手賀沼周辺のスイーツのお店もたくさんできているんですね。私は「#甘党おじさん」でいろいろ投稿するくらい甘党なのですが(笑)、そういったところも若い人たちがここに集まる理由のひとつになっているのかなと思います。実際ここで活動されていて感じる手賀沼の魅力って何でしょうか?

油原:さっき荻野さんは暮らしの質を高めるとおっしゃっていましたが、私は手賀沼との関わりに通じるなと思いました。私自身、柏から東京に仕事で通っていた頃は、疲弊しにいくような暮らしだったんです。震災を機に、東京ではないところで、もう少し自分の立ち位置がよく見える暮らしがしたいと思うようになって、ローカルに意識が向きました。当初は商店街がステージでしたが、ふと振り返ると手賀沼というもっとスケールの大きい場所があって。最初は見ていて気持ちいいという感じでしたが、いろいろな形で関われる入口を見つけて、知れば知るほど沼にハマっていきました(笑)。

堀口:東京との距離の近さもポイントでしたか?

油原:それはあると思います。移動時間をかければもっと本格的な自然はありますから。たとえば、私は茨城県出身なので、筑波山とかね。私は関わり始めた時に手賀沼ってなんだろうと考えたんです。筑波山と手賀沼の違いを考えると「山は目指すもの」「沼はそこにあるもの」だなと。

堀口:なるほど。鈴木さんはどうですか?

鈴木:「TEGA LOVE」の編集担当として、1年いろいろ取材させていただいたのですが、手賀沼には歴史や自然、生き物、スイーツなどいろいろなテーマがあるんだなと気づきました。手賀沼に来ると、みなさんの“好き”が絶対何か見つかるんじゃないかなと思って、「TEGA LOVE」のタイトルにもその想いを込めました。トップレベルではないけども身近な自然のなかに楽しみがなんでもある。訪れる人が、それぞれ自分の“好き”を深められることは、すごく魅力だと思います。だからこそ、さまざまな団体の活動や新しいチャレンジをしたい方がたくさん生まれるのかなと思います。

堀口:ここで出会うことで、可能性をみんなで広げていける。それがどんどん大きくなっている感じですか?

鈴木:僕や油原さんもずっと協議会で仕事していますけども、つづけていると地域の方やお店の方からどんどんアイデアが出てくるんです。それが僕としてはすごく楽しいし、いまの状態をつづけて、つないでいくことがすごく大事だと思います。

堀口:江口さん、ここで暮らす人としてどんな魅力を感じますか?

江口:そうですね……空がきれい。

堀口:それは大きな魅力ですね!

江口:水辺がある景色で、空の風景が毎日違うのもいいですし、油原さんと同じように私も都内で働いていたので、帰ってくると水辺で癒されていました。

堀口:若い人たちの勢いがあるなど、仕事のつながりという面ではいかがですか? 

杉野:数年前とは気象条件もどんどん変わって、今年に入ってからずっと猛暑。いま何か行動を起こさないと、このままでは農業をつづけられなくなる。そういう意識が、若い人のなかで高まっています。手賀沼周辺はまだ開発されていませんが、柏市の農家は都市開発と隣り合わせなので、そういうなかで自分たちが農家として生きていくためにはどうしたらいいかを、常に考えているんじゃないかなと思います。

※5社は株式会社道の駅しょうなん,NPO 法人 urban design partners balloon(鈴木さんの会社),合同会社 EDGE HAUS(油原さんの会社), 有限会社沼南ファーム,鹿倉農園です。

アクセス

●numa café(ヌマカフェ)
〒270-1451 千葉県柏市曙橋1
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●キングフィッシャーガーデン
〒270-1451 千葉県柏市曙橋1
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●道の駅しょうなん
〒277-0911 千葉県柏市箕輪新田59-2
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●北柏ふるさと公園
JR常磐線「北柏駅」下車 徒歩約10分
〒277-0001 千葉県柏市呼塚新田204-2
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つづくを、つなぐ。

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柏はこれまで、多くの人、新しい考えを受け入れてきました。
みんなが作り上げてきた今を受け継ぎながら、変化を恐れずに進んでいく。
それは、これからも変わりません。
柏の木は、冬のあいだ枯れた葉を落とさず春を迎えます。
その様子は次の世代にバトンを渡すようです。
私たちも柏の木をお手本に
みんなに愛される柏を、しっかり未来へつないでいきます。
ひとりひとりの知恵と工夫が、よりよいあしたへの大きな力になります。
「つづくを、つなぐ。」まちを、一緒につくっていきましょう。

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